弟の口からパンプキンポテトフライが飛び出した

弟はテレビを見ない。別に録画もしていない。趣味の話もあまりしない。
どうやら、もっぱらYouTubeであるらしい。
時々してくれる話には、ネンドザイカーとか、粗品のYouTubeとか、菅田将暉のラジオとかのワードが出てきたりする。
ただ、ラジオは恐らくradikoを毎週聞いているというよりも、話題になった切り抜き動画を覗いてるんだと踏んでいる。

今年のM-1は、久しぶりに家族で全編視聴した。
小学生以来である。
私がお笑いにハマり始め、真空ジェシカが出るらしいぞと家族を召集した。
M-1が終わった後、弟のクラスでは「ハンドサイン」が流行ってたらしい。
ある日「ねぇ、魚雷2倍速って知ってる？ガクの物真似めっちゃ似てるよ」と言われた。
知ってると答えると、「うわ〜、やっぱ姉ちゃん早いなぁ！絶対知らないと思ったのに！」と悔しそうにしていた。

横浜の放送ライブラリーでは、春と秋に全チャンネルのテレビのポスターやセット模型を展示する企画展を行っており、私は欠かさず足を運んでいる。
一昔前だと、VS嵐のローリングコインタワーのセットが展示されてたりした。
時々、1人1つまでだが、非売品のドラマグッズを貰えたりして、今回の企画展ではザ・ベストワンのステッカーが貰えた。
家に帰って弟に見せびらかすと、「何そのシール、ドラマ？」と言われた。

その夜、YouTubeの話になった。
弟は、霜降り明星がどうとか、最近クラスでインディアンスが流行ってるとか話していた。
「でも結局、魚雷2倍速なんよ！ガクとか、檜原とかも似てる」

魚雷2倍速まだ見てたんかい。
というか、檜原さんが似ていると判断できるって事は、ママタルト知ってるんだ。
有名人になっちゃって、まーごめも流行語大賞待ったなしだな。

「めっちゃ面白い芸人見つけたから今度URL送るね。名前なんだったかな」
「あ、そうそうパンプキンポテトフライ」

パンプキンポテトフライ！？？

支離滅裂になりながら経緯を問いただすと、少し前の「粗品に勝ったら10万円」というライブの配信を、友達と折半して購入していたらしい。
彼曰く、「知らない芸人ばっかだった」そうだが、その配信で面白かった芸人さんをメモっていて、その内の1組がパンプキンポテトフライだったそうである。

粗品さんの強力な影響力を垣間見た。

弟が、配信を買ったり現地に赴いたりしている所を、私は正直見た事がなかった。
この配信も、友達が主導して買ったんだろう。
そして、恐らく、この友達のように「粗品さんが金を失う所が見たい、そのためなら金を払うし、何なら知らない芸人のネタも見る」という気持ちの人達が、本当にたくさん居るんだと思う。

その人達のエネルギーもすごいし、エネルギーを掻き立てる粗品さんは本当にすごい。
同じくらい、魚雷2倍速さんがすごい可能性もある。

ビックリして言葉が出ない私を見ながら、弟は「あと、聞いた事無いんだけど、男性ブランコも面白いらしいんだよね」と言って自室に戻っていった。

テレビを見ないから、あんなにテレビに引っ張りだこの男性ブランコを知らないのである。
キングオブコント行ってる芸人知らないで、なんでパンプキンポテトフライなんだよ。

就活終わったら、弟をライブに連れて行こうと強く誓った。
とは言いつつ、私も、片手で足りるくらいしか足を運んだ事が無い初心者ですが。