しゃとるの感想文

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DEATHDAYSを見て写経した話 その2(終)

デスデイが来た

その1は、こちら。
shatorai125.hatenablog.jp


とうとう、8月2日がやってきた。

目次


デスデイにやった事①: 享年の確率計算


日付が変わると同時にデスデイを告げて、寝た。

よく眠れなかった。

寝る直前に、「そういえば、20歳のデスデイの次の夏に死んだって事は、享年何歳だ…?」と気になり始めてしまって。

なぜそんなに年齢を気にするかと言うと、この日、私が迎えた日付が「21歳の8月2日」だからである。
私が今、相田と河内と同い歳である可能性がどれくらいあるのか。
気になる。

よって、8月2日の朝、起きた私が最初にした事は「電卓を片手に、相田と河内が何歳で死んだ可能性が一番高いのか、確率を計算する」事であった。


(以下の確率計算は、主人公と相田や河内が同学年であると仮定した場合である。)

算出過程の計算用紙はダルいので載せないが、主人公の言う「20歳のデスデイ」が「(4月から大晦日までに誕生日を迎えた)20歳のデスデイ」なのか、「(1月から3月に誕生日を迎える予定の)20歳のデスデイ」なのか、誕生日を仮定する場合分けをして確率を計算した。

で、結果としては「享年20歳: 50%、21歳: 42%、22歳: 8%」という確率が出て、同い歳か年下の可能性が90%以上という結論に至った。

悲しい。

お遍路終えてからも、やりたい事たくさんあっただろうに。


デスデイにやった事②: 写経

元々、「煙草か線香を着火しながら」や「なりたがってた四万十川の水で墨を磨る」みたいな事を空想していた。

前者は、喫煙者も仏壇も身近でない事と、火のために屋外に出る気温じゃない点から却下。
後者は、写経の小さい文字を、筆どころか筆ペンですら書けない自分の字の汚さに失望し、却下。


という訳で、高知県のアンテナショップで買ってきた四万十川の天然水は、写経のお供として私の夏を「食べ抜く」飲料水になりました。

四万十川の水は、軟水が主流である日本の中でもかなり柔らかい事が特徴らしく(ペットボトルには11.4と書かれていた)、水道水とは明らかに違う滑らかさを感じました。

高級な絹ごし豆腐みたいな感じ。
美味しかった。


写経の仕方をGoogle検索し、「身を清める」という過程を読んで、先程まで数十分スーツ姿でWeb面接に臨み汗だくの体をシャワーで洗い、精神統一のために一度読経し、写経に挑んだ。

7月に般若心経を覚えた、と言ってもサクサク唱えられるだけで、漢字は全く覚えられてないので、本を見ながら写経した。

手本を見ずとも、暇な時間にスラスラ書ける相田は、いつ般若心経を書けるようになったのだろうか。
1文字目の「觀」から難しいのに。
みんなが絵を描く中学高校の授業中に、君は般若心経を落書きしてたんか?
それはそれで厨二病っぽくて愛しいな。


唱えてる時も薄々感じていたが、般若心経は「無」とか「不」がやたら多い。
「万物は常に変化する=実体が無い」という説明を「これも無い、あれも無い、そっちも存在しない」みたいな背理法?消去法?で話しているのが原因らしい。

話が長くて嫌われるタイプの先生の喋り方じゃん。


般若心経を唱えられるように準備した甲斐もあって、行や文字を飛ばしたりする事も無く、無事に1文字もミスらず写経を終える事が出来た。

個人的な感想としては、静かに集中したい時は読経、大胆に気持ちに勢いをつけたい時は写経が向いてると感じました。
マス目のある紙にボールペンで伸びやかに漢字を書く機会が久しぶりで、心が晴れた。
あと写経は、「無」と「般若波羅蜜多」の漢字練習をしたい人とかにもおすすめだよ!


基本的に写経は寺に納めてゴールらしいのですが、郵送不可だったり、寺指定の用紙だったり、添える金が高い場所が多い…。
四国お遍路を終えた人はお礼参りとして高野山に訪れるらしく、千葉の方に、郵送で1枚数百円からお焚き上げをしてくださる高野山系のお寺があるようなので、今度送ろうと思っています。


デスデイにやった事③: コンビニそば


ほぐし水に関する情報が少なすぎる。世の中に。

映画で出てきたほぐし水と同じデザイン、もしくは同じ企業で作られた物を購入しようと思い、ネットやSNSでコンビニのざるそばをしらみ潰しに調べた。

大体の写真はフタを開ける前(ほぐし水が見えない)か、食べ始める前(つゆもほぐし水も使用した後)ばかりでほとほと困り果てた。

2021年に「ほぐし水飲み比べ」という記事があがっており、そこには映画に出てきたのと同じデザインのほぐし水が掲載されているのだが、肝心の「どのほぐし水がどのコンビニなのか」という記載が無い。
dailyportalz.jp


あと、ねとらぼさんの2017年の記事で、真富士家食品さんに取材したものがあった。

――中身はお水なんですか

広報担当者:弊社のほぐし水の中身は「お水だけ」というわけではありません。つゆが薄まってしまわないように薄い塩味がついており、ナトリウムとアミノ酸が入っているので、日持ちもします。

――ということは、メーカーによってほぐし水の成分に違いがあるんでしょうか

広報担当者:そうです。味の素さんはだし入りのほぐし水で特許を取られたりもしていますし、やはり中身は少しずつ違うようです。

麺類についてる「ほぐし水」って何? メーカーとコンビニに聞いてみた - ねとらぼ

ほぐし水、会社ごとに特徴があるらしく、この記事と飲み比べの記事を合わせると「ミニストップなんじゃないか」と思ったりもしていたのだが、最寄りのミニストップのざるそばが似ても似つかない皿だったので、今回は見た目重視でローソンを選んだのだった。

コンビニそば、どれも形が似ているので間違ってるかもしれない。


今回は真富士家食品ですら無かったので、今度またコンビニ飯を食べる機会があったら真富士家食品のほぐし水を引き当てるべく、ミニストップでざるそばを購入してみたいと思います。


「この話はフィクションだろうか」に対しての自分なりの答え

映画で、40歳のデスデイのパートから「デスデイが存在しない日常」みたいな空気になるのが、ずっと不思議でしょうがなかった。

女性編集者が新卒22歳だとしても、デスデイ文化を知らないジェネレーションギャップが起こるほどの年齢差ではない気がしていたし、かといって主人公の地元特有の文化だったと思い込もうとしてみても、2話の紀子さんもデスデイを知っているという事実が飲み込めなかった。

この前、何となく「あー、そういう事なのかも」と思い当たる出来事に出くわしたので、記しておく。


面接のために横浜駅へ行く事になった時に、母から「横浜駅のトイレ、ちゃんと無料の所探しなさいよ」と言われた。
最初は「トイレ行くためだけに入場料払って改札入ったりしないでね」という意味かと思ってスルーしていたが、話が進むにつれて、母の言う横浜駅ではトイレの前に係員が居て代金を取るらしい事が分かった。

そんなヤクザの場所代みたいな事がある訳ない、なんだそれ、と反応すると母は「横浜駅は有料トイレだったって、絶対…」と言いながらネットで1つの知恵袋を見つけ出してきた。

2006年8月3日
JR横浜駅の中央改札近くのチップ式トイレのことなんですが
当初は常に人がいて皆さんチップを払って使用していたと思いますが
今は係りの人もおらず、チップを払ってる方はまず見ないですが
一応まだチップは集めているんでしょうか。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q118922086

この知恵袋と母の話とを合わせると、「2000年頃は改札内のトイレに銭湯の番頭みたいな人が居て金を取っており、2006年頃はトイレ前に募金箱が置かれチップ形式で料金を取っていた」という事になる。
嘘じゃないと証明された母は、満足げだった。

21歳の私は有料トイレなんて知らないし、トイレが有料であるという発想すら無かったので、たかが15年前の文化すら忘却され継承されない事にひどく驚いた。

こんな感じなら、40歳の主人公のデスデイの話が20代に「まさか」と笑われるようなシーンも、全く有り得ない話じゃないのかもしれないと思った。

ずっと続いている文化は、誰かが「続けたい」「伝えたい」と思うから続いているものであって、それ以外の文化は、数年単位というすごいスピードで忘れ去られていくんだなと実感した。


20代側の私の答えは「フィクションじゃないかもしれない。なぜなら、私の今生きてる世界にも、デスデイがあったのかもしれないから。40,50代の常識が20代に継承されてない事って結構多い。」でした。