しゃとるの感想文

長文・ネタバレ・他ジャンルなどなど。ツイッターリンクは「このブログについて」ページ。

「殺意の道程」はお腹が減る

「殺意の道程」を見てきた。
「AWAKE」の上映映画館を見てたらトップに出てきて、めちゃめちゃ面白そうだと確信したので見てきた。
バカリさんが書いた復讐殺人の裏側映画、面白くない訳ないじゃんね。

あと、上映前の予告映像で韓国映画KCIA」が流れたのですが、閣下と国家は韓国語でも「かっか」と「こっか」って発音同じなんだ、へーと思った。あんまり使えそうに無い豆知識ですね。

ネタバレするよ。




ご飯と家事ヤロウ!!!

この映画は簡単に言うと「ご飯」でした。
(全然違います)(バカリのみっちゃんと井浦のかずちゃんが村岡を殺そうとする話です)
食べ物の尺はお腹すく。
そもそもドラマとか映画って主人公がいる場所とかご飯についてあんまり描写無いじゃないですか。
だからこそ、通常のドラマの滑り出しからいきなりガストが映ってかずちゃんが「ねばとろサラダうどんで。」と注文してる落差が面白かった。
あったな、ガストにねばとろサラダうどん。
1回頼んだ事あるんだけど、マヨネーズとうどんが混ざるのが私の口には合わなかったんだよな…重たくなくてちょうどいいサイズ感なんだけども…。

出てくるガストと出てくる島忠が家事ヤロウ感を醸し出してて、カズさん中丸さんが私の脳内のワイプで喋ってた。
穴あき包丁と普通の包丁のくだりとかもうなんか「見えた」もんな。2人が。
家事ヤロウが「見えた」と言えば、村岡を尾行してる間の「高級寿司店と回転寿司の値段あたりの幸福度」のくだりもめちゃめちゃバカリさん節で笑った。庶民のグダグダしためんどくさい強がりじみた論理展開はバカリさんですよ。間違いない。
高級な刺身食って「これから食べる刺身が物足りなくなりそう、不幸ですよ」と言ってた中丸さんがよぎりました。
家事ヤロウの3人、フィーリングなのかアウトプットなのか何かしらが同じ方向だよね。

コンビニのクリームチーズパンが美味いくだり、映画の3割はあったでしょ。絶対あった。
家帰って録画してた家事ヤロウ見たら、ちょうどバカリさんが「クリームチーズ入れときゃ何でも美味い」旨の発言をしており、吹き出しかけるなどした。

バカリさんってなんであんなにも「性別:バカリズム 年齢:バカリズムなんですかね。
スーツと煙草が似合う反面で、成長期みたいなワイルドプレートとメロンソーダの親和性もすごいし、スイーツに囲まれてる空間もあんまり違和感無い。
なぜ。

単語センス授賞式

プロジェクト名:「苺フェア」
間違いなく「今、この単語センスが良い!大賞2021」みたいなのがあったら受賞している。良すぎる。
苺フェアに至る前に既にかなりの回数笑い転げたが、おっさん2人の若干くたびれた絵面で「苺フェア」という単語が飛び交う映画館(観客も高齢なおじさんばかりだった)シュールで良かった。
「わらびもち」とかだとまた違う、「苺フェア」の、この醸し出されるピンク!キラキラ!季節のトレンド!感がなんか良い。
あとそもそも殺害計画をプロジェクト名から攻めるの、単純にウケた。
1から着実に詰めていく堅実な社会人をうっすら感じる。

ついでにサクッとゆずきちゃんのクズ彼氏も殺しちゃおう:「プレ公演」
「プレ公演」という単語によって、みっちゃんが「練習用・とりあえず軽く」みたいなノリでゆずきちゃんの彼氏を殺そうとしている事を端的に表現していて、美しい単語チョイスだ…と思った。
本公演より軽いけど、本当に殺すから「リハーサル」ではない訳で「プレ公演」。
全然話変わるんだけど、Aマッソさんのコント「きっかけ」で、かける電話全てで「次電話する時は別れる時って決めてたから」と縁を切っていくくだりの「なんで全員とリーチなん!?」というツッコミにテンションが上がった。
「全員とリーチ」、10文字以内で端的に説明できる単語チョイス、美しい。

殺そうとしてる村岡への暴言:「次てめぇに会う時は命日だからな!!」
八つ当たりでバチクソ暴言吐くみっちゃんというかバカリさん、絵面がただでさえ小物感で面白い。
「かかってこいよ、ビビってんのか」みたいな事を言いながらかずちゃんに引きずられて退散してく時に聞こえてきた「次てめぇに会う時は命日だからな!!」がその通りすぎて追い打ちかけられた。
村岡サイドは暴言の一つとして記憶から消してしまうだろうが、みっちゃん側からしたら「次会う時が命日」はマジなのである。
オタクの「(物理)」構文のように、「お前の命日(比喩ではない)」。

その他諸々

惜しくも単語センス賞からあぶれたセリフ:「…殺すなら手伝うけど。」
そんな「夏祭りやるならスイカ割り手伝おうか?」みたいなノリで殺人を手伝うな。
そんな軽いノリで殺人を企てるな。
ビックリしたわ。
「父が死んだら、いとこはサイコパスでした。」みたいな映画かと思ったわ。
まぁ、導入はサクッといかないとね。

井浦さんをシリアス系のドラマでしか見た事が無かったので、延々とボケ続ける井浦さん新鮮でした…。
とても良かった、なんかツッコミ入れたらへそ曲げそうでツッコみづらい男の役がとてもハマってた…。殺人装備のニット帽と上着にメッセージ性を求めるかずちゃんすごく面白かったし、オブラートに包んでたのに途中から「ダサい。」と一蹴するみっちゃん面白かった。

これは本当に意図されてないし、偶然なのですが、途中で「この前ゼンモンキーさんで見た…」となるシーンがあってちょっとフフッっとなった。
どっちが先なのか分からないし、別に影響され合ってるとかではないけど。
ワタナベNo.1で見たやつだ(進研ゼミで習ったところだ構文)
バカリさんは荻野さんポジションと見せかけて、新人感より中堅感があるからヤザキさんかむらまつさんだろうな…。
私は何の話をしているんだ。

あのバカリズムさんでも「ソフトクリーム片手に晴天背面4人ショット」で謎の爽やか青春インスタ感が出るのだから、ソフトクリームと晴天はすごい。
ソフトクリームと晴天があれば誰でも青春を手に入れられる。
多分だが、チェックシャツをジーパンにinして背中のリュックからポスターがはみ出していても、ソフトクリームと晴天さえあればインスタグラムに載せられる気がする。
あと、腕時計で変な気起こしかけたから腕時計もすごい。
なんでこう男性の腕時計ってドキドキするんだろうな。

これは見てもらった方が早いんだけど、「20年来の友達」と「ビデオカメラ」の伏線回収が気持ち良い~~~最強~~~卍!!!ってなった。
見てほしい。
なんかドラマの再編集版の映画で、公開と同時に配信してるそうなので。
見てほしい。
伏線て言っちゃったから半減するかもしれないけど。
ごめん。

このはちゃん、最初から最後まで本当に何者…!??
全てがこのはちゃんの情報を基に進んでいくし、詳しすぎて、終盤まで「このはちゃん人殺した事あるのでは…?」と疑ってしまった。
このはちゃん本当にごめん。めっちゃ良い子だったこのはちゃん。
あと、ゆずきちゃんもとても良い子だった。
あと、全然関係ないけど私はゆずきちゃんの服装が好きだ。
あのくらいのラフなボーイッシュ感が私にも欲しい。

まとめ

バカリさんの脚本と生活レベルが合って、最高に面白い映画でした。

最初のオープニングで流れた映像に出てた数字の羅列は何だったのだろう。
配信で見てたら一時停止出来てじっくり見れたり考えたり出来たんだろうな。